味覚

 

魯山人味道 (中公文庫)

魯山人味道 (中公文庫)

 美味しさを感じることが出来る人は少数だそうです。絵の良さを分かる人と分からない人がいるように。私は絵の鑑賞の仕方が分からないと前に書きましたが、美味しさもいまいち分かりません。本の中で「味はそのときの状況で変わってしまう、経済的な状況など」というようなことを書いてありますが、魯山人ほどの人でも値段によって味は上下するようです。私の場合、同じ肉であっても500円で出されるより2,000円で出される方が美味しいと感じるに決まっているような貧相な舌の持ち主だと自覚しています。また500円の肉を1,000円ですといって出されても不満を言うことはないと思います。2,000円だと少しはおかしいなと感じるでしょうか。
 また、味覚は魯山人曰く生まれつきのものだそうです。先日何かの調査で甘い、からい、苦い、酸っぱいの味覚では男性より女性、それもより若者のほうが敏感だそうです。そのように味覚だけに限定してしまうと音楽に絶対音感という物があるように、味覚にもあるのでしょう。しかし料理は様々な具材を様々な調味料で調理するため、単純に美味しい・まずいというだけではありません。使われている材料の良し悪し、その材料の旬の時期、採れる地方、美味しい調理法などの知識が味覚を補い、より深く楽しく料理を味わうことが出来るようになるのでしょう。
 飽食の時代、流通の発達した時代、情報の溢れる今、何をいつどのように食べれば美味しいのか、調べようと思えば調べることは出来るのですが、安易にスーパーに置いてある安い野菜や肉を買ってしまいます。たまには八百屋や魚屋に行って今美味しい食べ物を探してみるのも文化的な生活といえるのでしょうね。